新海誠の最新作「天気の子」の感想を語る【お金を払う価値はある?】

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記録的大ヒットとなった「君の名は」から3年、7月19日に公開された新海誠監督の最新作「天気の子」を映画館で観てきました。

今回はその感想について語ろうと思います。

映画館に行って1800円払う価値があるか、それともネット配信やレンタル落ちを待つべきか悩んでいる人は、判断材料に使ってください。

はじめに僕の結論を書いてしまうと

  • ストーリーに期待するなら、映画館にまで行く価値はない
  • 映像美に期待するなら、是非とも映画館へ!

といったところです。

それではどうぞ。

「天気の子」のあらすじ

高校1年生の森嶋帆高(もりしま ほだか)は、住んでいた島から船に乗って家出同然で東京までやってくる。

東京に到着後は、船で出会った弱小プロダクションの社長でライターの「須賀圭介」から住み込みでのライターの仕事を与えられ、当面の生活環境を得る。

その年の東京は数ヵ月ずっと雨が続くという異常気象に見舞われていたが、ちまたではどんな状況でも絶対に天気を晴れにする「100%の晴れ女」の存在が都市伝説として噂になっていた。

ある日、帆高がハンバーガーショップで粗末な夕食をとっていると、とある少女がハンバーガーを恵んでくれた。

彼女は、天に祈るだけで天気を晴れに変えることができる能力を持っていた――

「天気の子」の良い点

まずは良い点について書いていきます。

  • 少年少女の恋愛模様に萌える
  • 映像の美しさは健在

少年少女の恋愛模様に萌える

「君の名は」でもメインテーマとなっていましたが、「天気の子」の本質も「ボーイミーツガール」です。

15~16歳という大人と子供の境目にいる微妙な年ごろの少年少女が出会い、段々とお互いを意識し始めて恋に落ちていく――。

厳密には、本作では「恋に落ちる」ところまでは行かず、「お互いを意識し始める」までが描かれて、その後の二人の関係は観客の想像にゆだねるという形になっています。

我々大人にとっては在りし日の青春の甘酸っぱさを思い起こさせ、同年代の子たちにとっては共感できる物語となっています。

映像の美しさは健在

新海誠の真骨頂である「映像美」は本作でも健在です。

雨粒が地面に当たって反射する様や、空の天気が雨から晴れに変わり、雲の隙間から日が差しこんでくる瞬間の映像の美しさは、思わずため息が漏れるほどです。

映画のストーリーを知るだけなら、それこそネット配信やレンタル落ちまで待ってもまったく問題はありません。

しかし、本作が映画館で上映される期間は限られており、この芸術とも呼ぶべき美しい映像を巨大スクリーンで堪能できる時は今しかありません。

ネット配信やレンタルが普及して映画産業が衰退しつつある昨今ですが、そんな中で新海誠の作品は「映画館に足を運ぶ価値」を再認識させてくれる映画界の救世主と言えるでしょう。

「天気の子」悪い点

続いて悪い点について書きます。

  • ストーリーは平凡
  • 売れ線に移行した感がある

ストーリーは平凡

既に書きましたが、映像のレベルの高さと比べて本作のストーリーはまさしく「平凡」と言わざるを得ません。

少年少女が出会い、お互い惹かれ合い、紆余曲折を経る中で離れ離れになりそうになるも、最後には再会を果たす。本作の筋書きはこのように非常に単純です。

「君の名は」では、時間軸をいじることで物語に多少のひねりを加えていましたが、「天気の子」の筋書きは「君の名は」よりもさらに単純になっています。

もしこの映画に「新海誠作品」という冠が無く、映像のレベルも平凡であったらどうなっていたか。おそらく有象無象のアニメ映画作品の一つとして埋もれていたか、良くて「隠れた良作」としてマニアの間だけでひっそりと語り継がれるだけの作品となっていたでしょう。

本作では「君の名は」に引き続いてRADWIMPSが主題歌や劇中歌を歌っています。その事を引き合い出して本作のことを「RADWIMPSの長時間MV(ミュージックビデオ)」と揶揄する声もあります。

要するに、音楽が主役と思えるほどストーリーが薄いと言われているのです。

あえて筋書きの単純さを良い面でとらえるなら、映画が終わった後に「あの場面はどういう意味だったんだろう?」といったもやもやが一切残らないことでしょうか。

ですが、本作のストーリーに人を引き付けるようなパワーは無いと断言します。

売れ線に移行した感がある

新海誠が今ほど有名になる前から彼のファンだった人はお分かりでしょうが、「君の名は」より前と後の作品では、ストーリーの毛色がかなり変化しています。

「君の名は」や「天気の子」は、比較的明るく「ポップ」な印象が強く出ています。

しかし、「君の名は」より前の彼の作品のストーリーは、人と人との心のすれ違いを重いタッチで描く「陰鬱」とさえ言えるものでした。

彼の作品で、僕は

を鑑賞済みですが、上記のいずれの作品も「ハッピーエンド」とは言い難いものです。

中でも「秒速5センチメートル」のラストシーンは「悲劇的」とさえ言え、あまりのショックに映画館の座席から立ち上がれなくなった観客が続出しました。

ですが、そこには間違いなく「切なさ、悲しさの中にある美しさ」が表現され、それこそが新海誠作品の真骨頂であると断ずる人が多かったのです。

ただ、大衆が求めるのは分かりやすいハッピーエンドなのでしょう。

「君の名は」は、紆余曲折経てもラストには主人公とヒロインが再開し、その後結ばれるであろうことを観客に予想させる「幸せな未来」が明示されたラストでした。そして、アニメ映画史に残るほどの大ヒットを記録しました。

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、「天気の子」も完全に「君の名は」の作風を受け継いでいます。

これは僕の想像ですが、「君の名は」以降、彼の作品から離れた往年のファンは少なくなかったのではないでしょうか。

もし「君の名は」を観て、大衆への迎合にガッカリした往年のファンが「『天気の子』では元の作風が戻ってくるかも」と期待してるのであれば、その期待は裏切られると予告しておきます。

まとめ

なんだか悪い点の方が熱を込めて書いてしまいましたが、結論は冒頭で書いた通りです。

  • 映像美を求めるなら今すぐ映画館へGO!
  • ストーリーを求めるなら、ネット配信、レンタル落ちを待つべし

です。

最後にフォローのような書き方になってしまいますが、平凡ではありながらストーリーも別につまらない訳ではないので、友達と遊んだり恋人とのデートで観るには最適な映画だと思います。

以上です。