数あるノベルゲームの中でも「隠れた名作」と言われているのが、今回紹介する「シンフォニックレイン」です。
本作はいわゆる「雰囲気ゲー」で、物語としての大きな起伏はありません。
ですが、雨が降り続ける中世ヨーロッパ風の音楽の都という舞台で繰り広げられる物語は、大作アクションのような派手さはないものの、静かな感動を与えてくれます。
今回は「シンフォニックレイン」の物語やキャラクター。どんな人がプレイするのに向いているのかを書いていきたいと思います。
シンフォニックレインのストーリー
主人公のクリスは、音楽家を目指して音楽の街「ピオーヴァ」の音楽学院に入学する。
彼は故郷に恋人のアリエッタを残してきており、定期的に手紙のやり取りをすることで互いの近況を報告しあっていた。
やがて卒業が近づき、卒業のための課題である発表会のパートナーを探すことになったクリス。
アリエッタの双子の妹であるトルタや、旧校舎で隠れるように一人歌を歌っていたリセ、さらに元生徒会長でしっかり者のファルシータといった面々に候補を絞っていきますが……。
これが基本的なストーリーです。
本作の注目ポイントは以下。
雰囲気ゲー
ノスタルジーや、幻想的な世界観が特徴のゲームのことを「雰囲気ゲー」と言いますが、本作もまさにその中の一本です。
舞台は中世ヨーロッパ風の音楽の都で、常時雨が降り続いている街です。音楽学院に通う学生たちの物語とあって、作品のBGMにもかなり気合が入っており、そのことも本作の雰囲気を魅力的に演出しています。
なお、冒頭でも述べたように物語の展開における起伏はそれほど激しくはなく、大作アクション映画のような波乱万丈なストーリーを期待している方は肩透かしを食らうかもしれません。
どちらかと言えば、人間模様や感情の移り変わりなどを繊細に描いた、ゆったりとした気持ちでプレイするべき作品です。
ただし、エンターテイメント性が低いという訳ではありません。物語の後半ではいわゆる「どんでん返し」が用意されており、多くのプレイヤーを驚かせました。
人間の表の顔、裏の顔を垣間見る
雰囲気ゲーの本作は、キャラクター描写が濃いめになっています。
そのため、「このキャラクターはこういう人間なんだな」という事が深くプレイヤーに印象付けられます。
しかし、物語の後半でヒロインの中の二人が、それまでプレイヤーの印象に根付いていた人格とはまったく違う顔を見せるのです。
特にその内の一人の本性が現れた時の衝撃はすさまじく、一部のプレイヤーにはトラウマになるレベルのショックを与えました。
我々は普段一人称の視点で世界を認識しています。
それはつまり、自分以外の誰かの性格や人格については、その人の普段の言動やふるまいから想像するしかない訳です。どんなに相手のことを知ろうとしても、頭の中を覗くことはできません。
その行動やふるまいは全て計算で、頭の中はまったく別の思考が広がっているかもしれない。本作をプレイすると、そんなちょっとした恐怖を味わうことになるかもしれません。
90%鬱ゲー
本作は雰囲気ゲーで、かつ「鬱ゲー」といって差し支えありません。
一応、各ヒロインにはグッドエンドとバッドエンドが用意されているのですが、実質的に本当の意味でのハッピーエンドは、メインヒロインのルートにしかありません。
他のヒロインのエンドは、グッドエンドの場合でもどこかに影を落とすような終わり方なのです。グッドエンドというよりも、ベターエンドと言った方がより正確だと僕は思いました。
バッドエンドの場合は例外なく主人公はヒロインと破局しますが、ヒロインが死亡したりといった展開はありません。ですが、そのことがより悲惨さを際立たせています。
なぜなら、命があったとしても完全にそのヒロインとの未来は絶たれたということが暗示されるからです。
一応、ある一人のヒロインとのバッドエンドでは、主人公は「いつか必ず迎えに行く」と言っていますが、状況からして絶望的なのではと思いました。
結論、終始鬱々とした展開が続くので、精神に余裕がある時にプレイした方が良いでしょう。
シンフォニックレインのキャラクター
さて、続いて本作に登場するヒロインを紹介したいと思います。
アル(アリエッタ・フィーネ)
本作のメインヒロインにして、物語開始時点での主人公クリスの恋人。
幼いころはクリスや双子の妹のトルタと共に音楽教室に通っていましたが、早々に自分に才能がないことに気が付いて、パン作りの道を歩み始めます。
クリスが音楽学院に入学するためにピオーヴァに旅立ってからは、定期的に手紙の交換をすることで仲を深めていきます。
本作はほとんどがピオーヴァを舞台に繰り広げられるため、クリスの故郷にいる彼女がクリスと絡むシーンはメインヒロインでありながらほとんどありません。
ほとんどありま……せん?
トルタ(トルティニタ・フィーネ)
アルの双子の妹。
クリスと共にピオーヴァ音楽学院に入学し、何かとクリスの世話を焼く面倒見の良い性格。好きな飲み物は、チョコレートを溶かした飲料のチョコラータ。
学院での専攻は声楽家で、日々まじめに練習に励んでいます。
冒頭で本作には「どんでん返し」があると書きましたが、それは彼女の行動に起因しています。
そのことからも、彼女はこの作品の裏のメインヒロインだと僕は思っています。
ファル(ファルシータ・フォーセット)
声楽家を専攻する三年生。元生徒会長とあって、周りからの信望は非常に厚い。
音楽の練習に励む傍ら、学費を払うために飲食店でのアルバイトをしたり、教員の手伝いに勤しむ頑張りやさん。彼女がこれほどまでに努力家になったのは、彼女の生い立ちが影響していました。
クリスに対しても料理を作ってくれたり色々と尽くしてくれる、とても良い女の子。
……ところで彼女のこの笑顔、どこか不気味に見えませんか?
リセ(リセルシア・チェザリーニ)
クリスの後輩の一年生。
ほとんど人が寄り付かない旧校舎でなぜか人に隠れるように歌を歌っています。
性格はとても引っ込み事案で、人が近づいてくると思わず逃げ出してしまうほど。誰に対しても心を閉ざしているようなその性格が作られたのには、悲しい理由があったのです。
フォーニ(音の妖精)
クリスの住むアパートに先住していた、自称音の妖精。
クリスとアンサンブルをするのが大好きで、学園から帰ってきたクリスに事あるごとにアンサンブルをせがみます。
クリス以外にはその姿は見えず、触ることもできない彼女の正体とは……⁉
クリス
本作の主人公。
フォルテールという、奏でるのに特殊な才能が必要な楽器のプロを目指してピオーヴァ音楽学院に入学します。
常時テンションが低く、練習にも不真面目なように見える彼。ですが彼がそんな性格になったのには理由がありました。
ところでピオーヴァの街に雨が降り続いている理由には、彼が深く関わっています。
まとめ
という訳で、最本作をプレイするのに向いている人は以下です。
- 波乱万丈なシナリオよりも、重厚な世界観や雰囲気を重視する。
- BGMも作品世界を構成する重大な要素として重視している。
- 人間の心理描写に重きを置いた作品が好き。
- 無理やりなハッピーエンドを見せられるくらいなら、バッドエンドでも納得できる方がよい。
ところで、本作には音楽を演奏するゲームパートがあります。
この演奏で、ある一定以上のレベルに達しないと、強制バッドエンドルートになってしまいます。これが慣れるまでは結構難しいので、純粋に物語が楽しみたい人は設定で「オートプレイ」を選んでおくことをお勧めします。
演奏パートを全て自力でこなそうとすると、シナリオを全て読むよりも多い練習時間が必要になるかもしれません。
以上です。
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参考までにどうぞ!