僕が季節の中で一番好きなのが、圧倒的に「冬」です。
「マジかよ寒いじゃん」という声も聞こえてきそうですが、その寒さもあいまってなんとも言えない切ない雰囲気に満たされるあの感覚がたまらなく好きなのです。
今回は僕が考える冬という季節の魅力について語りたいと思います。
澄んだ空気と街中のイルミネーションが織りなす幻想的な街並み
僕は「切なさ」という感情が大好きです。
なので、映画や小説などのエンターテイメント作品でも、大団円のハッピーエンドで終わる物語よりも、心のどこかにわずかな痛みを残して終わっていく作品を好みます。そして「冬」という季節は「切なさ」という感情に密接した季節だと思っています。
例えば、アニメ化もされた「White Album2」という恋愛物のビジュアルノベル作品があるのですが、この作品は切なさ濃度が極めて高く、あまりの切なさに「胃に穴が開く」とさえ言われています。
物語の詳細はここでは書きませんが、恋愛関係にある男女の出会いと別れがドラマティックに描かれ、美しいBGMにも彩られたとてもキレイな物語です。そしてこの作品は、物語のほとんどが冬の季節に展開していきます。
「White Album2」は僕が「切なさ好き」になったきっかけの作品でもあり、以降僕はこの作品のキーワードである「冬」「切なさ」「美しい音楽」「綺麗なイルミネーション」などが大好きになりました。
バスや新幹線に乗って音楽を聴きながら流れていく夜景を見つめる
僕が冬の季節になると楽しみにしているのが、これです。
新幹線や電車、バスなどに乗って窓から流れていく夜景をぼんやりと眺めます。耳にはイヤホンを付け、感傷に浸れる綺麗な音楽を流します。このひとときは何物にも代えがたい至福の時間です。
冬じゃなくてもできそうなことだと思われるかもしれませんが、季節が冬であることは極めて重要です。
例えば温度。
適度な寒さは感傷に浸るのにとても重要なのです。逆に温度の高い夏にこれを行っても、中々「切なさムード」に突入することはできません。熱帯夜にイルミネーションを眺めても、「きれー」とならないのと同じです。
そして空気。
冬は空気がとても澄んでいて、窓から眺める景色もくっきりと見ることができます。加えて冬であれば、その他の季節よりもイルミネーションでライトアップされた景色に出くわすことも多く、より美しい景色を楽しむことができます。
感傷に浸るためだけに公共交通機関に乗る
公共交通機関に乗るのは、通常どこか目的地があってそこに向かうためです。よって、僕が上で書いた乗り物の窓から景色を見て感傷に浸る行為は、どこか目的地へ到達する際に行うものと思われたと思います。
僕も今まではそうしていたのですが、今年の冬は「感傷に浸るためだけに公共交通機関に乗る」ことをしてみようと計画しています。つまり、どこかに行くことが目的ではなく、その乗り物の窓から景色を眺めて感傷に浸ること自体が目的ということです。
普通の人が聞いたら到底理解できない行為と思われるかもしれませんが、それほどまでに僕はこれが好きなのです。普通の人がマッサージや温泉に行って癒されるのと同じ感覚だと考えてください。
これを行うに当たっては、留意する事項が色々とあります。
- 感傷に浸るに十分な時間がある
- 隣の席に座っている人がいない
- 通過する道に、なるべく綺麗な景色があると良い
- 乗り物の中が暗い(外の景色がよく見える)
- 天気は晴れが望ましい
これくらいでしょうか。
時間について、感傷に浸るには最低1時間は乗り物に乗車していたいものです。それ以下だと、ちょうど気分が乗ってきたころに下車しなければならなくなります。逆に長すぎても、トイレに行きたくなってしまったら感傷どころではありません。よって、理想の乗車時間は1~3時間くらいだと言えます。
さらに隣の席に人が座っていないことも重要です。
僕は結構神経質な人間なので、自分が感傷に浸ろうとしている時に近くに他人がいるとまったく集中することができません。なので、バスにしろ新幹線にしろ、感傷に浸るためだけに乗るのであれば、混んでいない路線を選ぶことが重要です。
また、窓から見える景色も重要視したいところ。
煌びやかなイルミネーションも良いですが、逆にほとんど真っ暗な場所でわずかに数点の灯りがともっているような景色も情緒があります。また、乗り物の中が明るいと外の景色がよく見えないので、暗いことが望ましいです。
ちなみに雪が降っているとより景色が幻想的に見えるので好ましいと思われる方もいますが、窓にみぞれや水が付着して外の景色が見えにくくなってしまう恐れがあります。こうなってしまったら非常にムードは半減しますので、天気は断然晴れが良いのです。
感傷に浸るのに適した乗り物
さて、ここからは僕の独断と偏見で、流れていく景色を見ながら音楽を聴いて感傷に浸るのに適した乗り物・適さない乗り物について〇△✖に分類して書いていきたいと思います。
✖の乗り物
- 飛行機
- 船
飛行機や船は感傷に浸るのに適しません。その大きな要因は、外の景色がほとんど見えないからです。
飛行機は、離陸や着陸の時こそ夜景を観ることができますが、乗っている時間の大半は雲の上なので景色などほとんど見えません。
船も同様です。出発と到着の時以外は、だだっ広い大海原が広がっているだけです。それはそれで好きな人もいると思いますが、感傷に浸るのには適しません。何なら、僕は夜の大海原には恐怖すら感じます。
△の乗り物
- 電車
- タクシー
続いて△の乗り物です。
まず、電車ですが、そこそこ感傷に浸ることはできます。ですが大きな問題は、座っていると外の景色が見えないということです。後述する新幹線などの、窓に対して垂直に座席が設置されている場合は良いのですが、一般的な電車は窓と水平に座席が設置されています。そうすると、座っている場合、対面の窓との距離が遠くかつ向かい側に座っている人の顔が飛び込んでくるので感傷どころではありません。
結論としては、扉の両側に立って、扉の窓から外の景色を眺めることになります。それでもそこそこ感傷に浸れますが、やはり立っていると疲れてしまうので、ベストとは言えないでしょう。
もう一つ、タクシーは乗り物の性質としては窓も近くて良いのですが、万が一運転手が話しかけてきた時にイヤホンをはめていると聞こえません。そのことが気になって集中できないので、個人的には△としました。
〇の乗り物
- 新幹線
- バス(夜行バスならなおよし)
- 夜行列車
最後に、〇の乗り物について解説します。
まず、新幹線は感傷に浸るのに適しています。座席が窓と垂直に設置されているので、窓際に座れば外の夜景を見ながら快適に感傷に浸ることができます。さらに一般的な電車と違って、駅に止まる頻度も少ないので、停車による中断も最小限で済みます。
続いてバスです。バスは新幹線よりもさらに感傷に浸るに適しています。なぜなら、線路の上を走る鉄道よりも周りの景色との距離が違いため、より鮮明に夜景を眺めることができるからです。夜行バスならさらに長時間かつ、停車も少なく感傷に浸れるのでお勧めです。
最後に、夜行列車は最強の感傷に浸れる乗り物です。なぜなら「個室」を確保できるからです。夜行バスの中にも個室型のものはありますが、ついたてで4方が囲まれていると言った方が正しく、夜行列車の「部屋」とは別次元のものです。
夜行列車の個室は完全に「パーソナルスペース」なので、感傷に浸っている最中につい涙がこぼれても、周りを憚ることはありません。そして穏やかな気分のまま、ベッドに入って眠ることもできるのです。これ以上の贅沢があるでしょうか。
まとめ
完全に個人の趣味的な記事になりましたが、同じような嗜好を持っている人は多くいると思います。普段は多くの人と笑いながら過ごしているあなたも、今年の冬は少し一人になって、乗り物の窓から流れる夜景を観ながら感傷に浸って、みませんか?