タイトルで損をしているライトノベルってたくさんありますよね?
その中身は本格派でストーリーがしっかりしていてかなり面白いのに、タイトルがうわついているばっかりに中身もスカスカだと思われている作品……。今僕がハマっている「りゅうおうのおしごと!」もそんな作品の一つだと思われます。
僕がこのタイトルから想像した中身は、量産型の異世界ファンタジーで、竜を操る騎士だか何だかが世界を救って女の子にモテまくってうんちゃらかんちゃら……というものでした。
しかし何と本作はかなり骨太の「将棋」をテーマにした成長物語だったのです。
ストーリー
本作は若干16歳の若さで将棋界の2大タイトルの一つ「竜王」の初号を手にした主人公、九頭竜八一が9歳の女の子にして将棋の才能を持つ少女雛鶴あいを弟子に取り、彼女を育てつつ一緒に成長していく……という物語です。
僕はまだアニメの4話までしか視聴していませんが、軽薄なタイトルからは想像もできないほど良くできたお話で熱中しています。
作者について
ちなみに本作の作者白鳥士郎は、「農業」をテーマにした異色ラノベ「のうりん」の作者でもあります。「のうりん」は、作者が実際に農業高校を1年間取材して書かれた作品で、パロディや過度な下ネタを織り交ぜながらも日本の農業における問題点に踏みむ内容もあり、考えせられる作品でした。
彼の作品はシリアスな場面がある一方で、遊び心というレベルを逸脱した見るに堪えない「おふざけ」が書かれることもあります。「りゅうおうのおしごと!」の原作1巻の序盤では、将棋における主人公の師匠がオシッコがどうのこうのと大騒ぎする場面から始まり、正直そのギャグのレベルの低さは読者の読む手を止めてしまうほど酷いものでした。恐らく僕もアニメで前情報を入れていなかったら、「ひどい作品」と放り出していたでしょう。
マジメなのかふざけているのか分からなくなるような作品を書く作者でありますが、ひとたびシリアス方面に筆が進むと思わず引き込まれる中毒性があるので、やはりマジメな作家なのだと思います。
将棋カッコイイ!
本作は将棋をテーマにしているだけあって登場人物にも棋士が多数登場します。彼らが真剣勝負で将棋を指す様は本当にカッコイイです。中でもヒロインの一人である「浪速の白雪姫」こと空 銀子は、生来のクールな性格が対局中はさらに研ぎ澄まされていき、見ている方はそのカッコよさに思わず身震いするほどです。
将棋は礼儀作法をかなり重視していて、作中のキャラクターはどんなに歳が若くとも、破天荒な性格をしていても、対局中の始めと終わりにあいさつは欠かしません(一部例外はありますが……)。
こういう場面を見ていると「将棋をやると精神的にかなり成長しそうだな」と思わずにはいられません。僕はゲームのネット対戦なんかで負けると、くやしさのあまり壁や机を叩いたりすることが多々あるのですが、恐らくプロ棋士が実際の対局後に盤上を叩いたりひっくり返したりしたら将棋界追放物なのでしょうね。悔しさを押し殺して礼節をわきまえる精神を僕も身に着けたいものです。
将棋やってみたい
さて、影響されやすい僕はこの作品を読んで自分も将棋をやってみたくなりました。そこで少し調べてみると、ニンテンドースイッチ用のソフトとして「ひふみんの将棋道場(仮称)」が発売予定とのこと。
このソフトは2017年6月に現役を退いた元プロ棋士である加藤一二三 九段の監修する初心者向けの将棋ソフトの用で、コマの動かし方すら知らない僕にはうってつけです。このソフトである程度実力を身に着けたら、ネット対戦で全国の相手と対局ができたらと夢見ています。
……とまぁ、夢は膨らみますが、まずはルールを覚えなくては。