迷惑メールは「完全なるバカ」をあぶりだすために、わざと怪しめな文面にしているという話

我々のスマホに時おり送信されてくる「迷惑メール」。「孤独な大富豪から遺産を相続してほしいと申し出てくるメール」「一日5分のデータ入力で月収100万円のバイトのテスターに選ばれたとのたまうメール」僕もその文面を読んでは「こんなん騙されるヤツいるのかよ」とせせら笑っていました。

ですが最近「迷惑メール」の文面はワザと怪しくしているという噂を聞きました。こんな話は昔からあったのかもしれませんが、今回その詳細を聴いて「ほー」と思ったので語ってみようと思います。

迷惑メールの文面をワザと怪しくする理由

迷惑メールの目的は「人を騙して金銭その他を奪うこと」です。そうであるならば、なるべく多くの人が騙されるように真実味のある文面を作ることが最良であると考えられます。ですがどうやらそれは間違いのようです。

例えば「孤独な大富豪が遺産を相続してほしいと申し出るメール」が不特定多数に送られたとします。そして受信者の一人(仮にA氏とします)がそのメールに返信をして受け取りを申し出たとします。そうすると迷惑メールの送信元はA氏とやり取りをして、例えば「あなたが遺産を受け取るために身元確認料として10万円を振り込んでもらう必要がある。だが、あなたが相続する遺産はそれよりもはるかに多いので問題ない」といった文面を送ります。

もしこのやり取りの途中でA氏が「やはり怪しい」と気付いて逃げてしまったら、迷惑メール送信元の労力は無駄になってしまいます(まぁ取得したメルアドを業者に売却して利益を得るなどは考えられますが)。

とにもかくにも、迷惑メール送信側は無駄な労力を省くために「最後まで騙されてくれるバカ」がほしい訳です。そしてそれをあぶりだすために「どう見ても怪しいと思うようなメールを出して、それにも関わらず返信してくる人間をカモとする」のです。

そのため、迷惑メールの文面はワザと怪しく感じるようにしているというのです。

自分を高尚な人間と思うべからず

僕はこの話を聞いて「なるほどなー」と思ったと同時に、自分自身の驕りを恥じました。というのも、僕は今まで送られてくるお粗末な文面の迷惑メールを読みながら「迷惑メールの送信者はこんなレベルの文章しか思いつかないのか。僕ならばもっとリアリティのある文面を書けるのに、馬鹿な奴らw」と内心で馬鹿にしていました。

よもや迷惑メールの怪しげな文面には訳があるとは思ってもみませんでした。「馬鹿な奴」は僕の方だったということです。

人は往々にして自分のことを「平均よりも少し上」だと自己評価する傾向にあるようです。恐らく僕にもそういった思考があったからこそ、このような驕りを持ってしまったのだと思います。つまり「誰が見ても怪しいと気づけるメール」であるにも関わらず、「でも自分は平均よりも少し上の頭を持っているからそう思うだけで、結構騙される人は多いかもしれない」と思っていた訳です。恥ずかしいことこの上なしです。

物事の裏側を見るようにしたい

この迷惑メールの件はあくまで一例であって、世の中には「こうすればもっと良くなるのに、自分ならこうするのに」と思うようなことはたくさんあります。

インターネット上では社会保障や年金やその他世の中の仕組みに対して「どいつもこいつも馬鹿ばっかり、自分ならこうする。このやり方がベスト」といった主張がいたるところに散見されます。その中には本当に深い洞察の上で書かれていて傾聴に値するものもあるのかもしれませんが、恐らくそのほとんどは単なる知識不足と短絡的な思考からくる「ご高説」なのではないかと思います。

自分では「こうすれば絶対に良くなる」と思っても、実際にはそうなっていないのには大抵理由があります。世の中には頭の良い人たちがたくさんいて、そういった人たちが議論しても改善しきれていない複雑な問題があるのです。

そういったことに考えが及ばず、物事の表面的な部分しか見ずに自らの浅薄な知識をひけらかして悦に浸るのは、迷惑メールの文面をせせら笑っていた僕と同レベルです。

なお念のために書いておきますが、僕は「知識人以外は自分の意見を主張するべきではない」と言っているのではありません。むしろ誰もが自分の意見を主張するべきだと思いますが、それはあくまで一つの考えであって絶対ではないということを心に留めておかないと、恥をかく可能性が高いということです。

僕も迷惑メールの一件で反省して、明らかと思われる物事には裏があることを常に意識していきたいと思います。